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〈23〉硯美艸堂雑記(けんびそうどうざっき) 22

 「圖版1、圖版2、沙浦石・荷中鯉魚硯」と「圖版3、沙浦石・午月暮靄硯」は沙浦石硯です。透き通る天青色に各種の青花があり、白色の魚脳凍は大空に漂う白い浮き雲のような美麗な硯石、心を惹くに足るものがあります。
 実はこの沙浦石硯は、平成に入って間もない頃、書道雑誌等で繰り返し新老坑硯として掲載されていました。新老坑硯のみが勝れていて他は劣ると云う、荒唐無稽を本質とするかのような説が功を奏して、新老坑硯(沙浦石硯)が硯市場を席巻するかのような勢いを見せています。
 新老坑硯を強引に押し進めた人たちの思惑や打算はそれなりの成果を得られたと思われますが、邪まに咲く栄耀の花の盛りは一時、最近は殆ど新老坑硯を聞くことがありません。
 昭和四十六年に老坑が再開され、採掘権を所有する肇慶市端溪硯工場が老坑硯を製産していましたが、平成に入って倒産その後は再建されていません。
 従って、多くは存在しない筈の老坑硯が日本國内では夥しい程の数量で流通していたことになります。
 それは実証を欠く硯説が暴走したことによるのですが、以前鑑定家を自称する人達が、大西洞、小西洞等に自身の主観によって決めつけたのとよく似ています。
 旧文献には老坑内部に東洞、西洞等の蟻の巣状の絵圖が示され、又、各各の洞に五層の層があって石質について詳述しています。この説明に従うと老坑石は数十通りの石質に分類されることになります。
 しかし、高低差二十メートルの老坑内部で数十通りの分類は、文章上成立する机上の論であって現実的ではありません。大西洞、水帰洞の描かれた老坑最深部の数十メートルの前方で、旧石に勝るとも劣らぬ硯石が採取される状況は、この絵圖からは説明することが出来ません。
 大西洞等々の説を否定することは、鑑定家の面目をつぶすことになりますが、老坑であれば価格が高いとする利得に執着した短絡的な視点での、何んでも大西洞、水帰洞に当てはめた方法が、沙浦石硯を新老坑硯に仕立てた遠因になったことは間違いありません。
 従来の利害関係が錯綜する鑑定方法の排除が必要です。
 美的価値は千差万別、各種の端溪石、端石にはそれぞれの長所となる特徴があり、本物にしか発散出来ない美しさをご理解頂ければ誠に幸いです

 
圖版1 圖版2
 
圖版3
 
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