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〈21〉硯美艸堂雑記(けんびそうどうざっき) 20

 圖版は端石灰蒼色の明代の太史硯です。太史とは中國古代の官職で、史官および歴官の長。星座、星の運行等の歴法、法規そして宮廷内の記録等々を掌る官職のことです。
 従って、背面に星座を持つ硯が太史硯です。この太史硯には二十八個の眼柱の星座があることから、別名二十八宿硯又は列宿硯です。
 二十八宿とは天文の観測から生み出されたもので、太陽が一年間に一周し描く軌道、黄道(太陽の軌道を表す大きな円)付近の星座二十八個を定め、これを二十八宿と呼んでいます。
 最古の資料には、春秋戦國時代に曽候の墓から発見された副葬品の漆の箱の蓋に描かれた二十八宿があります。
 また、二十八宿を四分して、東の蒼龍七星、北の玄武七星、西の白虎七星、南の朱雀七星です。本硯は縦が十四センチ小振の二十八宿硯ですが、秋天に晃めき渡る銀河が示されています。
 ところで、近時目にすることは、太史硯が挿手硯あるいは抄手硯と標示されていることです。たしかに背面に手が入るかも知れませんが、挿手、手が入るとは犯罪捜査のために警察官が来ることであり、抄とはかすめとることと辞書に出ています。
 宇宙の千変万化を示す天下の名硯太史硯が、かすめとる硯では何んの糸瓜にもなりません。
 私事で誠に恐縮ですが、この六月の始めにかぜを拗らせ、医者から肺炎を告げられました。身体の剛健さだけが取り柄の野生には、闇に月が入るの心境です。しかし、幸いにも天命未だつきず、ふた月を費やしての妻の心盡しの介抱で一命を取り留め平癒致しました。
 この大病は却って体の組織を一新して、殆ど旧にまさる元気を興えられました。
 東京精華硯譜は生涯の大事、生存の目的を果す可く極度の貧苦にもめげず屈せず、百歳の壽を保つよう気長に続けようと願っております。

 
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