中國の名硯タイトル  
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〈1〉中國の硯 1

 機械文明の発達した大変忙しい今の世の中では、硯が一般的に道具として使用されることは限られてまいりました。最近では習字、書道に於いても、これは書道の基本的姿勢の問題ですが、チューブ入りの墨汁等が使われ、硯の存在は極めて危うい状況です。
 このような状況下で、今何故中國の硯なのかを詳しくご説明してまいりたいと思います。
 中國の硯は、漢字を生み出した偉大な漢民族の人々、特に文人によって昔から愛用されてきました。
 長い中國の歴史は、指導者として活躍した文人によって刻まれてきましたが、文人は毎日硯を使用することから、何時しか硯が心の拠り所となり、文人の魂として今日に伝えられてきたのです。
 我が國には武士の魂として日本刀があります。刀は戦場では、己の生命を守ると同時に、人の命をも奪うという狂気の沙汰としかいいようのない道具です。しかし、平和な時代に於いても武士の魂として大切にされてきたのは、それは日本刀の精神性の高さにあると思います。
 従って、我が國では武士の魂が日本刀であり、中國では、文人の魂が硯であって、そこには東洋の精神性、あるいは精神美という抽象的な言葉を、具体的に形で示しているのです。
 圖版の硯は、端石灰蒼色・太史硯「銀河九天硯」ーたんせきかいそうしょく・たいしけん「ぎんがきゅうてんけん」 (宋代)です。縦が十センチにも満たない、手の平に乗るほどの小硯ですが、思わずはっとさせられ息を呑むほどの不思議な力を持っています。
 本硯の素材は、中國廣東省に在るペーリン(北嶺)山脈で採取された、愛硯家に最も人気の高い灰蒼色の端石です。背面 の小さな眼柱のあかい瞳の珊瑚鳥眼は、夜空の星星を意味し、星座、宇宙を象っているのです。
 この小硯は、九天(大宇宙)に銀河が燦然と輝く、果てしない世界を示しています。これは、手の平に銀河宇宙を捉えた文人の壮大なロマン。
 宋代の蘇軾、米帝等が拝むようにしたこのような硯には、東洋の核の高い精神性と、文人文化のスケールの大きさが込められています。

硯表面 硯背面 硯側面
縦9.7糎×横5.7糎×高さ3.2糎 (背  面)  
 
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